令和6年5月22日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◆この議事速報(未定稿)は、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◆後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◆今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 午前十時十五分開議 ○長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、建設業法等の一部を改正する法律案の審議をさせていただきたいと思います。  今回の法改正に関しての国交省からの説明をいろいろと見させていただきましたが、この改正によって、建設業者等による不当に低い請負代金による請負契約の締結の禁止、建設業者による著しく短い工期による請負契約の締結の禁止、著しく低い額による建設工事の見積りの禁止、労働者の適切な処遇の確保に関する建設業者の責務、中央建設業審議会により建設工事の労務費に関する基準の作成、国交大臣による建設業者の請負契約の締結状況の調査と結果の公表等も盛り込まれます。  また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正において、後ほど議員立法として出されるものでありますが、公共工事の発注者となる各省庁の長等に、受注者である建設会社において通常必要と認められる原価に満たない金額での請負契約を締結していたり、著しく短い工期での請負契約を締結している場合などを含む違反行為の疑われる事実があるとき、国土交通大臣に対して通知しなければならないこと等が盛り込まれるようになります。  これらの改正により、建設労働者の賃金確保に寄与することが望まれておりますが、改正案の目標、効果、KPIとして、二〇二四年度から二〇二九年度において全産業を上回る賃金上昇率の達成が掲げられております。本法案が成立することで、建設業においてどのような変化、好転を期待しているのか、国土交通大臣にお伺いいたします。 ○斉藤(鉄)国務大臣 持続可能な建設業を実現するには、賃上げを実現し、建設業の将来を支える担い手を適切に確保していく必要がございます。  このため、本法案のKPIでは、建設業の賃金上昇率が全産業を上回ることを目指すことといたしました。これは、今回の改正によりまして、建設業の賃金水準が他の産業を上回るペースで上昇を続けることを目指すものでございまして、その結果、他の産業との人材獲得競争を勝ち抜き、有能な若者が喜んで入職してくれるような建設業になっていくことを期待しているところでございます。 ○小宮山委員 中央建設業審議会基本問題小委員会では、標準労務費、建設工事の労務費に関する基準は、東京における標準的な仕様及び条件での歩掛かりに公共工事設計労務単価を掛け合わせて算出すると示されておりますが、このように行うのか、確認をします。 ○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  具体的な労務費の基準の設定の仕方についてでございますけれども、今後、中央建設業審議会で議論を行っていくということでございますが、御指摘いただきました、公共工事設計労務単価に歩掛かりを乗じるという方法は、今回の法改正を御議論いただいた審議会におきまして、算出方法の一例というふうにされているものでございます。  この方法でございますと、地域とか職種の違いを反映しながら、多様な工種に応じた作業量当たりの労務費というものを算出することができます。この作業量当たりの労務費は、契約当事者の間の交渉の際に一般的に使われております。そういう意味では、使いやすく分かりやすい、そういう利点がございます。また、作業効率を上げれば受注者のメリットも大きくなるという点で生産性向上にもつながると考えますので、議論の一つの出発点になるというふうに考えております。 ○小宮山委員 設計労務単価は、平成二十五年、二〇一三年以降、十二年間連続で引き上げられております。私もそのたびに質問を重ねてきておりますが、その引上げ率も各年度における他産業での賃金上昇を上回るものとなっていたけれども、実際の建設労働者の賃金には反映されていないのではないかと感じております。これまでも、民間事業にも普及するということを希望されていたようですけれども、実際には必ずしもその思惑どおりに進んでいないというのが現実で、だからこそ、今回の建設業法の改正というものが提出されていると感じております。  建設労働者の賃金は、公共工事だけでなく民間工事によるものも含まれていることもこの要因ではありますが、これまで、公共工事について設計労務単価の上昇により賃金上昇が行われることで、民間の建設工事についても賃金上昇に結びついていくということを期待されていましたが、実際にはどうだったんでしょうか。民間工事において、賃金上昇につながる効果がどの程度あったと考えているんでしょうか。 ○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  公共工事に従事する技能者の賃金は公共工事労務費調査によりまして十分に把握をされておりますけれども、民間工事に関しましては同様の調査データがないというふうに認識をしております。  したがいまして、民間工事に従事する技能者の賃金動向を申し上げるということは難しいわけでございますけれども、ただ、多くの建設業者におかれましては、公共工事も民間工事もどちらも受注している、同じ社内で同一の職種の技能者の賃金について、公共工事の従事者だけ引き上げるということは難しく、したがって、公共工事設計労務単価の引上げは民間工事の受注者の賃上げにも一定の効果がある、こういうお話もお聞きしております。  公共工事設計労務単価を引き上げた十二年前、平成二十四年以降、建設業全体の技能者の賃金というものは着実に上昇しているということでございますので、民間工事も含めて建設業界全体の賃上げに一定の効果があったというふうに認識をしております。 ○小宮山委員 今回の法改正後に、労務費の基準が公共工事設計労務単価に連動するものとなれば、公共工事設計労務単価の各年度での改定に伴って労務費の基準も改定される。結果として、公共工事設計労務単価と民間工事を含めての建設労働者の賃金が連動するようになるのか、この点の御見解を、大臣、お聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 今、局長から答弁がありましたように、労務費の基準というのは、法の施行後に中央建設業審議会で御議論いただくことになります。この労務費の基準が公共工事設計労務単価と連動するものとなるかは今後御議論いただくことではございますけれども、設定された基準は、発注者を問わず適用されることが考えられます。つまり、公共工事にも適用されるということで、自然と連動していくというようなことも考えられるのではないかと思います。  労務費の確保と行き渡りの仕組みを通じて、建設業界全体で適正な処遇が実現されるよう努めてまいります。 ○小宮山委員 適正な対応に努められるという大臣の言葉、心強く感じますし、実際にそれが表れることを期待しております。  さて、建設業法等の一部改正に合わせて、今回、議員立法により、品確法等の一部改正、公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案も行うべく、各党間で準備を進めているところであります。品確法等の一部改正では、測量業の担い手確保を行うため、測量法の一部改正も予定しております。 現実に今どうなっているのか、伺っていきたいと思いますが、実際に測量業に従事している測量士、測量士補の人数を把握する仕組みについて、御説明をいただきたいと思います。 ○大木政府参考人 お答え申し上げます。  測量法では、測量業者の登録申請等の手続において、国土交通大臣に営業所ごとの測量士及び測量士補の人数を記載した書面を提出することとされております。  令和六年五月一日現在で、この手続で把握できる、測量業者に置かれている測量士の人数は三万六千八百十九人、測量士補の人数は一万八千五十四人となっております。 ○小宮山委員 測量士、測量士補は、資格試験に合格して有資格者となるほか、大学、短大、高専などで測量科目を修めるなどして測量士補となった後、実務経験を経て測量士となります。大変難しい試験でありまして、合格率も低いというふうになっているものでもあります。さらに、専門の登録養成施設で知識と技術を身につけ、測量士補となる方法もあります。  登録養成施設としては、測量士補養成施設が九校、このうち二校は測量士の養成教育も行っています。近年、測量士補養成を休止した学校一校もあり、登録養成施設の数は限られております。  そこでお伺いいたしますが、測量士の現場で使われていない測量機器など、平成十五年に定められた授業内容を用いているために、実際の現場では使えないものも用意をしなければならないという運営上の課題もあるようであります。登録養成施設の授業内容や用いる測量機器について、国土地理院においてはどのように把握していらっしゃるのか、御説明ください。 ○大木政府参考人 お答え申し上げます。  測量法におきまして、御質問の養成施設につきましては、そこで行われる講義、実習を行う科目及びこの実習などに使用する実習機器は、現在、測量法において具体的に規定されております。その内容についても国土地理院では把握しているところでございます。  しかしながら、測量業務における技術の進展は著しく、そこで使われる測量方法や機器は変化してきております。現在使われていない測量方法や測量機器が法律に規定されている現状もございますので、現在使われているものに改めるといったことが考えられます。  こうしたことによって、養成施設において使われていない機器を保有する必要がなくなる、若しくは負担が軽減される、また、生徒さんたちには、技術の進展に対応した適切な講義、実習が行われるようにすることが可能ではないかと考えているところでございます。 ○小宮山委員 資格を有していながら測量業に従事していない方も多数いらっしゃる背景には、賃金水準などの要因もあると伺いました。  また、昨今、自然災害など、測量士の活動は復旧には不可欠でもあります。測量士の減少というのは復旧に対しての妨げになりかねません。後ほど審議、採決される予定ではありますけれども、品確法等の一部改正により測量士の確保また質の向上につながることを期待しております。  さて、日本国内の事業者全体のうち、約九八%ぐらいが中小零細、個人事業主が占めております。規模の小さな事業者における賃金上昇、待遇改善への取組は、大規模事業者と比較して困難を極めております。  また、規模の小さな事業者を元請として工事を発注する場合は、その発注者自体が小規模事業者であったり個人施主であるなどの場合も多くなることから、安価な工事費用となるよう求められる中、賃金を十分確保した金額内容では折り合わず、受注に至らないということも起こり得るでしょう。大規模な建設会社でないと対応しにくいという結果を招きかねません。  中小零細事業者や個人事業主、一人親方においても賃金がしっかり確保できるようになるための支援策を検討、実行していく必要があるのではないでしょうか。国土交通省としての見解を伺います。  例えば、労務管理に対しての専門職員を置いたり、専門家との相談、アドバイスを求める場合への補助なども一考に値するかと思います。また、どうしても、事業を起こすときに行政書士の方に登録をしていただくことも多くありますが、労務管理のことでいえば社会保険労務士の方が主流になってくるということを気がついていない一人親方の方とか建設業の方も、現実にはいらっしゃいました。  いろいろな、まだまだやるべきことがあるかと思います。この点について国交省の見解をお聞かせください。 ○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法改正により設けます労務費の確保と行き渡りにつきましては、この仕組みを有効に活用して、労務費が中小零細の事業者の方、個人事業主の方、一人親方の方まで行き渡るようにすることが極めて重要でございまして、まずは、契約当事者の間で新しいルールにのっとった価格交渉というものに努めていただく必要があるわけでございますが、零細事業者の皆様も含めまして、新しいルールを理解していただいて使いこなしていただくということが重要だと思います。分かりやすい周知などの支援につきまして、関係の団体の御意見もよく聞いて一緒に考えてまいりたいと思います。  また、更に申し上げれば、弱い立場の零細事業者の方でございますから、注文者に対して交渉に臨む、なかなか難しいことがあろうかと思います。これにつきましても、業界団体の方の御意見をよく聞いて、相談やアドバイスを求めることができるような体制づくり、こういうことについても検討してまいりたいというふうに存じます。 ○小宮山委員 今回の法案に関しまして、ICTの活用なども抱えておりますが、職人の世界で、ICTと はかけ離れたというか、大変現場を大切にされているという現実がございますが、小規模事業者や個人事業主が工事関係資材を入れるときに、期日を守るために、スマートフォンからの通販などを、資材の購入や備品等で利用されることが多くあると聞いております。  ただし、このようなネット通販やいろいろな販売所を使うときに、領収書の発行も通販サイトの上からPDFファイルのダウンロードで提供される場合も多く見受けられますが、これが一定期間後、例えば半年ほどでダウンロードできなくなる事業者もあると聞いております。  確定申告の前に大変苦労されたということも伺っております。小まめに領収書のダウンロードをすればよいのでしょうか。期日が迫っている、要するに、施工して引渡しの期日が迫っている方としては、そこまでできないということも現実にあるようであります。  ネット通販サイトなどにおける領収書発行などへの対応の在り方に関して、決算時期に対応できるように一年は発行できるとか、領収書の保存義務期間に合わせるとか、あるいは初回の発行が行われるまでは期間は問わないというような、より利用者の利便性、そして納税をするときの利便性というものに資する対応が望ましいのではないかと考えますが、実態調査や改善に向けた対応などについて経済産業省からお伺いしたいと思います。 ○山影政府参考人 お答えいたします。  法人、個人事業者、いずれにおきましても、適正な税務申告を確保する観点から、法人税法あるいは所得税法などの法令に基づきまして、帳簿書類を備え付けて取引を記録すること及びその帳簿書類を一定期間保存しておくことが、法人、個人事業主本人に義務づけられていると承知してございます。  その上で、インターネット通販事業者におきましては、領収書等の発行については、事業者が何らかの形で領収書を閲覧、ダウンロードができるようにしている場合がございまして、その閲覧、保存が可能な期間につきましては事業者によって様々で、異なっていると承知してございます。  他方で、先ほど申し上げたとおり、帳簿書類の保存等は、本来、サイト利用者の本人の方に義務づけられたものでございまして、そういう中で、領収書の閲覧、ダウンロード機能のサービスにつきましては、サイト利用者の利便性向上に資する対応として、インターネット通販事業者が、あくまでも営業上のサービスとして任意に行っているものと承知してございます。  経済産業省といたしましては、インターネット通販事業者が任意で行っているもの以上に、事業者に追加負担を求めることはなかなか難しいのではないかと考えてございます。 ○小宮山委員 事業者はそうかもしれませんが、納税をさせる、また電子帳簿等をさせる段階において、機能的に移行できなかったり様々なことがある、問題があるということは、税理士の方が現実に、去年以降、インボイスであったり、電子帳簿の義務化であったりの中で、実際に体験をしていることでもあります。 是非、経済産業省におきましても、キャッシュレスを言うのであれば、それに対応できるように、また、納税は義務でもありますし、それがきちんとできるような体制をするよう、やはり対応していただきたいと思います。  放置とか、民間でやっているから知らないではなく、きちんとそこまで政府として、キャッシュレスを進めているならば、責任を持っていただきたいということを指摘いたします。  さて、インボイス制度についてのお伺いをさせていただきます。  建築現場に関わるICT活用のみならず、経理、納税、見積りを始めとして、パソコンなどを駆使して仕事を行うことで、効率向上、生産性向上が期待されるとされておりますが、一人親方などでは、建築技術は一流であっても、税務処理やパソコン利用は苦手、電子帳簿への対応も厳しい、難しいと感じられている建設技能者も多くいるようであります。  十月よりインボイス制度が導入され、レシートや領収書などにも、インボイスの番号が、十三桁の数字が印刷されることも目につくようになりました。 税理士の方々からも、適格請求書発行事業者登録番号を国税庁サイトから確認する手間が省かれるものの、安易な特例に頼ってしまいがちな小規模事業者の方々に対して、大変心配もされております。  そこで伺いますけれども、インボイス制度導入に伴う旧来の免税事業者などへの負担軽減策、二割特例の当面の期間延長を行うこと、しっかりとインボイス制度などが、この短い期間で普及するとは私は考えられないし、現場からも厳しいということを伺っております。この点について、財務省より御見解をお聞かせください。検討の余地はあると思います。 ○小宮政府参考人 お答え申し上げます。  いわゆる二割特例につきましては、インボイス制度の円滑な導入や定着を図るため、免税事業者であった方がインボイス発行事業者となった場合の各種負担に配慮する観点から、三年間の激変緩和措置として設けられているものでございます。  その適用期間が終了した後でございますが、簡易課税制度を用いることで、二割特例適用時と同様に、各事業で売上時に受け取った税額から納税額が計算できるということとなっております。  二割特例終了後における各事業者の対応につきましては、この簡易課税の活用も含めて検討がなされるものと考えているところでございます。  二割特例の延長につきましては、こうした点も踏まえつつ、慎重に検討する必要があると考えております。 ○小宮山委員 簡易課税に移行できるといいますけれども、大分税率も違います。また、周知徹底等、納得をするというのも納税の大きな立場だと思いますし、また、消費税導入後というか、税制というのは、シンプルかつ公平にされるべきだと思います。ほかからも恐らく多く要望が来ているとは思いますが、是非、改めて検討していただきたいと思います。  さて、いまだに強い下請たたきについて伺っていきたいと思います。  昨日も建設産業専門団体連合会の岩田会長からもありました、総額一式契約そのものを否定するわけではないけれども、入札価格を下げなければ仕事がもらえないというマインドが建設業界上位から下請まで広がっている、それで、ダンピングというものがつくられていたということでもあります。総額一式の請負契約が慣例で、これを長らく放置されてきたということなので、やはりしっかりとここは直さなければいけないということ。  また、全建総連の方の勝野書記長からも、同様のこともありました。法改正が行われた場合でも、その実効性が確保されなければ、十分な効果は得られないという指摘がありました。  また、全建総連におきまして、持続可能な建設業の実現に向けた百万人国会請願署名がなされ、その内容においても、低賃金、長時間労働、休日の少なさが入職を阻む要因になっているということ、そういったことが指摘されました。  建設業においても、賃金の適正な、安全衛生確保の必要性から、下請階層の数の制限を法制化する必要があるのではないでしょうか。国交大臣の見解をお聞かせください。 ○斉藤(鉄)国務大臣 過度な重層下請構造は、今、小宮山委員がおっしゃいましたように、いろいろな弊害がございます。その是正に取り組む必要があると我々も考えております。  一方、建設業は、多種多様な専門工種を組み合わせて施工する必要があることなどから、一律の次数制限には慎重な検討を要します。  このため、今回の法案では、まず、適正な労務費の確保、行き渡りなど、早急に講ずべき施策を盛り込み、一歩前進させることといたしました。  あと、今回の改正では、労務費の基準を著しく下回る契約が禁じられるため、中間に介在する下請業者が更に下請契約を結ぼうとする際、利益や経費を差し引きにくくなるという結果、重層構造の是正に一定の効果が期待されているところでございます。  一部の大手業者では、原則、二次下請までに限定した施工体制の確立に取り組んでいると承知しております。こういう事例も増えてまいります。こういう事例も踏まえつつ、重層構造の是正について議論を継続してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 重層下請構造が是正されつつあるというお話でも、正確には、下請構造が是正される事例も出てきたということだとは思いますが、元請の受注金額の半値八掛けにより、僅か四割程度の金額で請け負わざるを得ないというような事例も、いまだに実際には起きているものであります。場合によっては、半値八掛け二割引きと、もっと低い場合があるという話でもあります。  これ、専門のところで、特に人件費がその大半を占める業界では、まだこれが実際には慣習として続いているということも聞いております。やはり、工事の分離発注というものも進められていくことが大切なのではないかと思っています。  この点に関しましては、是非、国交省の御見解をお聞かせいただければと思います。 ○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  分離発注ということでございますけれども、分離発注を行いますと、発注者の立場から見ますと、直接指示をしなければならない相手方が増える、異なる工種の間の調整を発注者自身が行わなきゃいけないということになりまして、発注者の業務量が増加するという面がございます。また、工種間の工程調整がうまくいかない場合には、品質の影響にも及ぶ可能性もございます。  したがいまして、分離発注を一律に進めるということはちょっと慎重に考える必要があるわけですが、一方で、分離発注とすることで、いいこともあります。発注者の意向を直接伝えることができます。施工の責任や工事コストの明確化が図られる、こういう場合があります。そして、専門工事業者の育成に資する、こういう面があるわけでございますので、こういう合理性が認められる場合につきましては、発注者の体制とかコストにも考慮が必要でございますけれども、発注者として分離発注を進めるということがふさわしい、こう考えておりまして、こういう考え方を公共発注者を中心に周知をしてまいりたいというふうに存じます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  下請から見ると、なかなか元請の方には言いづらいこともありますし、半値八掛けでやると、かなり抜かれておりますので、その分がなければ、恐らく発注者側も安く発注できるんじゃないかということも利点であるかと思います。そして、先ほど局長が言っていたとおり、新たな受注者ということを育成するのにつながるんだと思っております。  最後になりますけれども、アスベスト除去費用の補助拡充についてお伺いしたいと思います。  アスベスト除去に関して、レベル3、形成板まで調査、除去費用も対象となる助成制度についても用意されることが望ましいと考えていますが、国土交通省の見解。また、これは引き続きしっかりと、何年も経過した後にアスベストの被害というのは明確になりますので、取り組んでいくことが必要だと思っております。  最後になりますが、大臣にこの点だけお聞かせいただければと思います。 ○斉藤(鉄)国務大臣 建築物に使用されているアスベストは、飛散によって利用者の健康障害につながるおそれがあることから、その対策は極めて重要と認識しております。  国土交通省におきましては、飛散性があり、暴露の危険性が高い吹きつけアスベストなどについて、平成十八年以降、建築基準法により規制するとともに、補助事業により除去などを支援してまいりました。  今後とも、適切な除去や解体が行われるよう、厚生労働省、環境省とも連携しながら、アスベスト対策にしっかり取り組んでまいりたいと思います。 ○小宮山委員 建設労働者の安全、そして適切な評価がしっかりとされることを望み、質問を終わります。ありがとうございました。