令和5年6月1日 衆議院災害対策特別委員会議事速報(未定稿) ○江藤委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、今年に入り各地で地震が頻発し、また、関東大震災から百年という節目の年でもあり、防災意識が非常に強まっている時期かと思っております。だからこそ、いつ起こってもおかしくない大規模災害への備えを進めるべく、質疑をさせていただきます。  平成二十九年六月には当時の松本防災担当大臣、また、令和元年十一月には武田防災担当大臣との間で、被災地、特に避難所での性暴力、性被害に関しての質疑を行いました。これら質疑の際、事件化されていないものも含めて、被災地での性犯罪、性暴力被害の現状認識、実数、被害届、逮捕、検挙数、相談件数について、また、警察、避難所、自治体、関係団体での対応についてどのように現状把握をしているのか、さらに、防災計画、災害時緊急避難計画に性被害防止についても記載されるようになっているのか、質問をさせていただきました。  令和元年の質疑のときには、避難所での性犯罪の被害があったとの報告は、ここ最近では受けていないものと承知をしておりますと、大臣答弁では、数字上、被害は生じていないかのように述べられました。これは、凶悪犯の件数の内数としてカウントされるため、被災地、避難所での性暴力被害としての件数で把握はされないということも原因となっている、そう把握いたしました。把握していないということは、痴漢、のぞき、不同意性交など、性暴力への認識の低さ、社会的弱者をつくり続けてきた日本の政治の貧困というんでしょうか、この表れではないでしょうか。  そこで、お伺いいたします。被災地、災害避難所での性暴力、性被害について、被害届出の数だけでない、実態把握の取組について、進捗、変化はあるのか、そうした被害防止のための取組とともに、説明をいただきたいと思います。 ○谷国務大臣 お答えをいたします。  まず、防災担当大臣としてこの委員会に出席しておりますので、その上で答弁させていただきます。  警察庁においては、災害が発生した場合は、都道府県警察に対し、避難所における性犯罪等の発生状況を警察庁に報告するよう指導しているものと承知しているところであります。  また、応援部隊を被災県に派遣するなどして、避難所等における相談対応等を強化しているほか、地方公共団体と連携して、各種犯罪の相談、届出をしやすい環境の整備にも努めてきたものと承知しているところであります。  警察の方では、熊本地震以降、具体的にそういう避難所における性暴力犯罪があったという報告は受けていないというふうに承知しているところであります。しかしながら、これは、委員御指摘の問題は大変大事なことでございますので、政府においては、令和二年に内閣府男女共同参画局が取りまとめた男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン、これを踏まえまして、内閣府防災でも、昨年、令和四年四月に避難所運営ガイドラインを改定し、防犯上の観点から、女性用の更衣室や休養スペースなどを設置することや、女性専用のトイレを安心して使用できる場所に設置するなどを追記し、自治体に対し周知を図っているところであります。  政府におきましては、これらの内閣府防災の避難所運営ガイドラインも踏まえて、引き続き、避難地を管轄する自治体や避難所の運営主体、またNPO法人等とも連携をより深めながら、 性犯罪を始め各種犯罪の相談、届出をしやすい環境の整備、また、そもそもそういう犯罪が起こりにくいような、そういう整備をしっかり取り組んでまいりたいと思います。 ○小宮山委員 実態としては、やはり過去の調査というのはなかなか難しいかと思いますが、今大臣がおっしゃっていただいたように、NPOなど市民団体が調査をしております。是非、その点は参考にしていただきたいと思いますし、今、今国会では、性犯罪、性暴力に関しましての刑法改正の審議が進んでおります。成立すると思っておりますので、その中において、刑法改正に即した 形での御検討を更に詰めていただきたいと思います。  避難所におってということで、実際は知らない方もいるかと思います。物によっては、実を言うと、避難所で、一つは、実際に被害があった、加害者と被害者が両方とも警察に行って取り調べて、加害も認めた、被害もちゃんと認められた。でも、結果として、家に帰れないので同じ避難所に戻していたり、また、地域の方たちが多く集まるところでごたごたをしないでほしいという地域の顔役の方、これは男性の場合も女性の場合もあると聞いておりますが、そういう人たちが、被害者の方を結果として泣き寝入りをせざるを得ないところに追い込んでいたりという現実があります。こういうことがないようにきちんと対応していただくこと、それが、何かあったときに安心して子供も大人もしっかりと避難所にいられる環境づくりだと思っております。是非、谷大臣の御健闘、というか御活躍を、この点に関しましては発言力を期待をいたしたいと思います。  さて、首都直下型地震についての質問をさせていただきます。  東京など首都圏を襲う首都直下型地震、東京都はこの被害想定を、昨年、十年ぶりに見直しをされました。建物の耐震化が進んだことなどにより、死者はおよそ六千百五十人と前回想定より三割余り少なくなりました。  しかしながら、首都圏での地震では様々な課題が見えてまいります。  二〇二一年十月七日の夜に、千葉県北西部地震は、最大震度五強を観測し、負傷者は計四十九名、発災直後から運転を見合わせ、駅には長蛇の列ができ、多くの通勤通学客らに影響が出ました。また、過日の五月二十六日午後七時三分頃の、千葉県東方沖で、マグニチュード六・二、茨城県と千葉県で最大震度五弱を記録した地震の発生時にも、首都圏の交通網に大きな影響が出ております。各地の、運転を再開した鉄道も増えていましたが、実際には、地震の影響でダイヤは大幅に乱れ、帰宅ラッシュの時間帯を直撃して大混乱をしたと言われます。  震度五では日本の耐震基準を満たした建物が崩壊することは考えづらいですが、公共交通網の混乱のみならず、通信網、送電線被害、埋立地の液状化による上下水道の被害なども想定される首都圏は、災害に対して脆弱さが増しているように思います。  私たち立憲民主党は、現在、自民党ほかと国土強靱化法の改正に向けて協議を今進めているところでもあります。しっかりとした、強靱化する、強くしなやかな体制を取るということは望まれていることで、必要なことだと考えております。  さて、私、小宮山としては、これまで複数回にわたり、地震の揺れを感知して電源が切れる感震ブレーカーに関して当委員会で取り上げてまいりました。  阪神・淡路大震災の際、特定された火災原因のうち、実に約六割が通電火災と言われています。感震ブレ−カーは、大地震の際、特に木密地域での火災を大幅に軽減でき、近年、様々な種類、分電盤タイプ、コンセントタイプ、簡易タイプ、建物単位での総合タイプなどが開発され、使用されております。二〇一四年の中央防災会議にて決定された首都直下地震緊急対策推進基本計画では、出火防止対策として、感震ブレーカー等の普及促進が位置づけられました。  現在、感震ブレーカーの現状の普及状況について御説明をください。 ○谷国務大臣 以前から、感電ブレーカーの普及について小宮山委員が熱心に取り組まれていることに敬意を表したいと思います。  平成二十五年に内閣府が公表いたしました首都直下地震の被害想定では、最悪のケースでは約二万三千人の死者が推計されておりますが、その七割は、危険な木造密集市街地を中心とした火災によるものと指摘されているところであります。  この感震ブレーカーにつきましては、大規模地震発生時に電気による火災の発生を抑える上で大きな効果があるものと認識しております。  内閣府の調査によりますと、その設置率でございますが、地震などに著しく危険な密集市街地では、令和元年時点で約二二%、また、全国では、昨年、令和四年時点で約五・二%となっているところであります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  なかなかこの設置というのは進んでいないというのが実態だと思います。  私、個人的には、感震ブレーカーは設置義務化されることが望ましいと考えますが、未設置の家屋等に対しても火災を起こさせないためにも、簡易な形のものも含め設置できるように、地方自治体に任せるだけでなく、国としても積極的に支援、補助すべきと考えますが、この施策に関して、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。 ○谷国務大臣 国におきましては、感震ブレーカーの普及を図るために、第三者機関による製品認証制度の適用による製品への信頼性の確保、あるいは、電気設備の施工時に適用される民間の規定において、危険な密集市街地における住宅への感震ブレーカーの設置を強く促すなどの取組を行ってきたところでありますし、また、毎年春と秋の全国火災予防運動において、住宅火災対策の推進に効果的であるとされている一つのポイントとして、感震ブレーカーの設置を明示しているところであります。  一方、そういう設置への助成でございますが、令和元年の時点で七府県百三十市区町村において、感震ブレーカーの設置に対する助成制度が設けられており、こうした普及活動は、各自治体の取組を後押しするものと期待しているところでございます。  また、東京都においては、今年度、木造住宅密集地域を対象に感震ブレーカーを無償で配布する方針であると承知しているところであります。  国におきましても、国土交通省では、昨年度から防災・安全交付金などを活用して、密集市街地における感震ブレーカーの設置に対して支援を行っているところであります。引き続き、関係省庁等と連携し、感震ブレーカーの普及に努めてまいりたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  是非、感震ブレーカーがしっかりと設置されること、通電火災が抑えられるということは、発災後、様々な形の復旧復興に早期につながると確信をしておりますので、更なる施策の充実の後押しをよろしくお願いいたします。  さて、電源の確保について質問させていただきます。  東京都の担当者は、この十年間で都内の携帯電話の契約数は三倍に増えている一方、停電や通信規制の影響を受けにくい公衆電話は半減していることから、公衆電話の場所を事前に確認したり、通話アプリを活用したり、複数の手段をできるようにしてほしいと呼びかけなどをしています。  電力については、地震直後や翌日あたりでは、発電所が運転を停止するなどして、電力供給能力が低下し、広範囲の停電や首都機能を維持するための計画停電が行われる可能性があるほか、送電用の鉄塔が多く倒れると、停電は長期化することになります。  災害が生じると、様々な社会インフラにも被害が生じ、生活していく、生きていく上で必要なライフラインの供給確保も難しくなる場合がありますが、これら重要インフラのライフラインの確保の中でも、今や電力供給が失われることを防ぐのは、防災への取組の基本であり、最重要視すべき課題だと考えます。  首都圏での停電の長期化に備える重要性は、国も地方団体も認識し、呼びかけも行っていますが、自助で取り組むには限度があります。避難所となる小中学校など体育館や公共施設だけでなく、各町内の自治会館に自家発電機、電力会社と接続不要な地中熱利用施設など、再生可能エネルギー施設並びに蓄電池の設置を進めたり、電気自動車所有者との間での災害協定を締結するなど、あらゆる手段で備えることが災害対策になり、その後の復旧復興へ有効であると考えます。  私の地元であります川越市寺尾地区では、繰り返された豪雨時の浸水被害の教訓を生かし、住民自ら防災意識を高める勉強会開催や訓練に取り組んでおります。  先般五月十三日には、寺尾自治会防災訓練の際には、情報収集、地域への情報提供に必要な設備として、非常用電源、充電器、蓄電池の設置などの指摘が、役員の方たちとお話ししたときにありました。また、災害時のみの防災ラジオ放送ができないかといったお問合せもいただきました。以前質問し、回答いただいた体育館の遮熱塗料の活用ほか、避難所となる場所においての発電機、蓄電池の整備、開口部からの熱の影響を抑えるための二重窓やカーテンの有効利用など、様々な意見交換も、このときに私、住民の方とさせていただきました。  そこでお伺いいたしますが、地域防災拠点となる公民館や自治会館などで蓄電設備の整備などの取組について、自治会、町内会などにできるだけ経済負担をかけずに進めていくべきだと考えますが、国の支援策についてお伺いいたします。 ○榊政府参考人 お答えを申し上げます。  御指摘の自治会館等における発電設備の整備につきましては、当該施設が市町村の公共施設で指定避難場所に指定されている場合には、当該市町村が行う非常用電源などの整備について緊急防災・減災事業債の活用が可能となっております。また、地方公共団体の中には、自主防災組織が行う発電機等の購入につきまして独自の支援を行っている例があると承知をしております。委員御地元の埼玉県におきましても、自主防災組織が行う防災資機材の整備に対して、市町村が補助を行う場合には当該市町村に対して県が支援を行っていると承知しております。 ○小宮山委員 国の支援というのは、基本的に公的な機関が主だというふうに伺ってはおります。  大臣、質問通告はしていないんですけれども、自治会館は、個人の所有等もありますけれども、地縁団体、人格なき社団として登記されていることもあります。このような場合も対象に入れるということは、非常に有効になってくるのではないかと考えます。是非この点に関しての検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○谷国務大臣 内閣府としては、優先すべきは、いざというときに避難する指定避難所、これがやはり最優先だと思います。それを最優先にして、今のところそういう、市町村の公共施設ではない、指定避難所にも指定されていない、じゃ、そこへの設置の支援は誰がするのかということにつきましては、基本的にはより身近な自治体の方が適当ではないかと思っておりますけれども、指定避難所の整備が一巡した上で、あとは、それぞれ、全国の地方自治体の意見あるいは様々な御意見をお聞きしながら、国としても検討することになるやもしれないということになろうかと思います。 ○小宮山委員 検討するやもしれないというか、是非検討していただきたい。  というのは、首都直下型地震ですと、かなり被災者が出ます。当然、周辺の県も大きく揺れる。となると、家の方に必ずしもいられるわけではない。そうした場合は、基本的には指定避難所である多くは学校とかそういった施設ですが、そこにも入り切らなくなるというのは、過去の様々な大震災のときにも分かっていることでもあります。そうなると、一番やはり情報収集したり集まりやすいのは自治会館であります。  大臣おっしゃるとおり、ある意味、公共的なもの、個人名のところというのはどうなるか分からないということを考えると、この地縁団体という人格なき法人になっていれば、そういった個人的な背景には左右されない場所でもありますので、是非検討の俎上にのせていただくことを改めてお願いをいたします。  次の質問に移らせていただきます。  豪雨時には□防災訓練のときにそうやって言われたんですが、自治体の使う防災無線、放送というのが聞き取れなくなる、音がかき消されてしまうので、各家にある、地域防災情報を伝達する方法として、コミュニティーFM、ラジオ放送の活用ができないのかという問合せがございました。  これに関してどのような施策が国にはあるのか、お聞かせください。 ○山碕政府参考人 お答え申し上げます。  豪雨など災害時における情報伝達は、国民の生活、安全に直結するものでありまして、的確になされる必要があると考えております、  委員御指摘のような、災害が発生した場合に地方公共団体がラジオ放送を通じて住民に必要な情報を届ける仕組みといたしまして、被災地の地方公共団体自らが免許人となって臨時かつ一時的に臨時災害放送局を開設できる制度がございます。  この臨時災害放送局に関しまして、総務省では、全国十一か所の地方総合通信局等にアンテナや送信機等の設備を配備し、地方公共団体からの要請に応じて無償で貸付けをしているところでございます。  総務省といたしましては、災害時に住民の方々に必要な情報を届けることができるよう、平時より、地方総合通信局等を通じて、地方公共団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 最後の質問となってまいります。  災害救助法では、大規模災害発生時に、全壊、半壊などにより居住、使用できなくなった被災者への住まいの提供のため、応急仮設住宅が建設、設置されることとなっております。  最近では、木造仮設住宅などが非常に普及してきて、快適性も含めて有効なことが分かってきておりますが、国の想定では、首都直下地震では全半壊する住宅が三百十四万戸にも上ります。自宅の被害を受けた人は、災害から復旧が長期化する中、住む場所を失う住宅難民が生じると言われています。その要因は多岐にわたり、大きなものの一つは仮設住宅の不足でもあります。東京都でいえば大体百四万世帯がそういった行き先が不明というのが、数値が出ております。  仮設住宅の建設を行うためには、まず最初に建設用地の確保や未利用地の活用を行うことが必要だと考えます。想定される首都直下地震のような都市部での被災の場合には、適当な用地が見つからず仮設住宅の建設が進まないという懸念がございます。  そこで、仮設住宅の建設用地としての活用も視野に入れつつ、特段の建設物や施設などのない単なる広場状の土地をできるだけ各地に確保していくことが必要ではないでしょうか。この点に関しまして政府の見解を伺います。 ○榊政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、首都直下地震など大規模災害発生時におきましては、応急仮設住宅等のために必要となる土地の確保は重要な課題であると認識しております。  このため、平時から、地域の実情を踏まえた応急仮設住宅の候補地リストの事前作成や、民有地の活用に向けた関係団体との協定の締結、土地の有効活用のため多層階建ての応急仮設住宅の検討などを進めていく必要があると考えております。  なお、土地の選定に当たりましては、公有地のほか、企業等の民有地も活用することができるよう、土地の賃借料についても災害救助法の国庫負担の対象としております。  内閣府といたしましては、関係省庁などとも連携して、都道府県や市町村において必要な土地の確保が図られますよう、しっかり取り組んでまいります。 ○小宮山委員 是非お願いしたいと思いますが、なかなかその指定や調査というのは進まない。実際に災害が来たときには、既に、所有者の問題が起きていたり、企業が押さえていたりということも考えられます。これまでの大規模災害のときにも仮設住宅をしようにもその土地がなかなか見つからないということもよくあったことでもあります。  この点を考えると、早くに押さえられるように、とはいえ、地方自治体も今、予算がないという中で、現実的には準備ができないということにもなります。  NHKのウェブ特集で、災害ツリーで見えた首都直下地震三つの危機というのがありました。この中では、財政破綻、復興増税の実施、社会保障の削減など生活の困窮の拡大、格差拡大など、私たちの身近な経済への影響が生じる。また、長期化になれば、失業者の増加、人口減少、日本製品離れなど、深刻な経済影響があります。  だからこそ、防災、減災というのは重要でもあります。その備えをすることによって、日本社会の危機を回避することにつながると私は考えております。谷大臣の決断、そして実行力が注視されることだと思っております。是非政治の要、災害対策をしていただくこと、更に積極的にすることを期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。